秋保温泉

知人にお呼ばれし,秋保温泉 ホテルニュー水戸屋さんに一泊してきました。

https://www.mitoya-group.co.jp/

 

自分は仙台に住んでいることもあり,居住地の近場の観光地には行かない理論?で数年振りの秋保泊となりました。以前は,温泉宿のみというイメージが強かったですが,地元スーパー さいちさんがメディアで取り上げられたり,最近だとワイナリーが出来たりして活気づいた印象です。

ちなみに、さいちさんの開店は9時なのですが8時半頃に店の前を取ったらすでに5人程度の開店待ちのお客さんがいらっしゃいました。特に、おはぎが絶品&大人気。お惣菜も充実しいてどれも美味しそう。

さいち@秋保温泉

 

草津や箱根といった超大御所と比べると,温泉街としての規模や観光施設の数は少なくはなってしまいますが,静かで緑に囲まれた環境が好きという方には魅力的な選択肢の一つかもしれません。ちなみに仙台には有名どころで作並温泉もあるのですが,観光はあまり興味がなく温泉のみ楽しみたいんじゃという硬派な方は,こちらがおすすめ。山の中にポツポツと温泉宿があるのみで,観光するのであれば車で移動が必須となっており,隔離感・俗世間から離れてます感が得られます。

年齢を重ねるごとに,旅行先としての温泉に魅力が増している気がします。アトラクションも観光名所,海外旅行も楽しいのには変わりがないのですが,以前に比べて優先順位が揚がってきているという感じでしょうか。

自分は睡眠の質があまりよろしくなく,毎日夜中に2~3回起きてしまうことがほとんどですが,温泉宿に泊まった時には比較的ぐっすり眠れる気がします。場所を移動すること,自然に触れることによるリラックスの他,温泉による効能もあるのかという気がしています。

 

で,温泉については体がぽかぽかするという激粗解像度しか持ち合わせてなかったので,少し調べてみました。肩まで温かい湯に浸かって,全身あたたまるとうだけでなく,複数要因が健康に影響していることが分かり,面白かったです。

温泉百科 | 日本温泉協会 (spa.or.jp)

 

●温熱効果

これが一番最初に思い付きますね。温泉には通常の水の他,塩化ナトリウム,二酸化炭素,炭酸ナトリウムが含有されており,同じ温度のお湯に比べて体が温まり安く,冷めづらいとう特徴があるそうです。体感としても納得ですよね。

●浮力・水圧による物理作用

これは,通常のお風呂でも同じになりますが,人間は常に重力を受けています。水に入ることで浮力にそれが緩和されることで,重力から解放されむくみの解消び役立つとか。また,水圧が全身作用することでもマッサージ効果が得られるそう。

●化学・薬理効果

ラドン温泉、ラジウム温泉なんて言葉を聞いたことがある方は多いかと思いますが、温泉に溶け込んでいる物質が経皮で吸収され、健康に有益となるそうです。

重曹(炭酸水素ナトリウム)、食塩(塩化ナトリウム)成分などによる保温・温熱作用の持続→温熱作用の長期持続効果(除痛時間が長い)
二酸化炭素硫化水素による血管拡張作用:末梢血液循環の改善(冷え性などの改善)、軽度の高血圧患者の降圧作用、体温上昇が短時問で可能、温熱効果の早期発現と持続効果がある。
③酸性泉だけでも殺菌効果があるが、マンガン(Mn)・ヨード(I)含有泉は殺菌効果が強い;にきび、アトピー性皮膚炎

ホテルニュー水戸谷

肝心のホテルニュー水戸屋さん、5点満点中4.5点といった感想です。

よかった点としては

・お風呂が大きくて複数あり、楽しめる。

・騒音等にもかなり気を遣ってくれているのか、静かでストレスなし。

・夕飯、朝食とも定番のものが並ぶが、どれも美味。

といったところ。逆に、

・こぢんまりとした昭和感漂うゲームコーナー

・スペースの割に品揃えが微妙なお土産コーナー

は改善の余地ありかなぁという印象を受けました。

スタッフさんの対応もとても丁寧で、また行きたいと思わせてくれるお宿でした。

ありがとうございました。

社会人ドクター生活(1)

自己紹介欄にも書いてますとおり,自分は国立大学理系の博士前期課程(修士)を卒業し,いわゆる大企業に分類される民間企業に入社しました。

で,10年ほど勤務した後,ひょんなことから社会人ドクターとして大学に編入学し,現在3年生。業務と研究の日々を送っています。と書くとさぞかし優秀・立派なイメージが漂いますが,実状としては、業務が立て込めばそこに全集中(研究はほったらかし),研究発表や論文の提出期日が近くなれば逆にそっちに全振りというドタバタ劇を繰り広げる毎日です(泣)。理想の自分はどへやら・・・

学生の時は「きっと社会人になったら能力が伸びてて,仕事計画的にスマートにこなしているだろう」と思っていましたが,たぶん,スケジュール管理能力は大して変わっていません・・・。研究発表やゼミで多くのコメントを頂戴するたびに,「もっと余裕持って準備しとけよ,過去の俺!」とツッコむ日々でございます。

そんなイバラの道(ドMの道?),きっと会社からの潤沢な補助・バックアップがあるのかと思いきや・・・自腹でございます。ご存じのかたもいらっしゃるかもしれませんが,国立大学の学費は年間約50万,それに入学金が30万程度。博士課程は標準で3年ですので,単純計算,200万円となります。200万を自分の財布から出して,もがき苦しむ。非常に魅力的ですね(?)。

 

確かに,学費も決して安くはないですし,発表直前なんかは遅くまで準備をすることも多く楽ではないのが正直な感想。それでも,民間企業に努める身としてアカデミックの領域にいる人と接し,議論ができること。業務とは別に,自分が知りたい・解明したい内容に純粋に打ち込むことには魅力があるのも事実です。ちなみに,井の中の蛙なのは承知の上で,自分も研究をしている最中に「この結果をしっているのはこの世界で自分だけ!うひょー!」となる瞬間がありました※

※研究者の発言や文章をみると,博士課程1年目なり,数回「全能感に感染する」タイミングがあるそう。

社会人ドクター生活も3年目を迎えており,卒業を控えております(うまくいけば,ですが)。で,このタイミングで振り返りをしておくことは,自分の備忘にもなりますし,もしかしたら今後,社会人ドクターとしての道を歩もうと考えているからの一助(笑いのネタ?)になるかもしれないと思いたち,つらつらと書き残してみることにしました。

役に立たたない,面白くない,ただの自己満足となる可能性も多々あるところですが,冷めた目で見届けていただくと幸甚でございます。

ニーズはなくてもよかろう、自己満足じゃ。

 

(参考文献)

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか

https://amzn.to/3XtVnPP

入学後、「さっぱり論文が書けない(書く気が起こらない)」となった時に手に取った一冊。薄めの一冊でサクッと読めましたが、主張は非常にシンプル。

いいから黙って毎日書け!

ということ。

 

東村アキコ先生の「かくかくしかじか」の絵の先生の「描けー!」といってることは同じ。

かくかくしかじか

https://amzn.to/3w0qgj4

 

毎日書く。日記などの習慣化に成功した人は、継続は力なりの言葉の意味をよく分かっていると思います。美術の技術同様、研究においても数日おくと「勘」が鈍り言葉を紡ぎ出すための初動が重くなること、以前やっていた作業や内容を想起するのに時間やストレスがかかるため、結局は少しずつでも継続したほうがトータルとしてみると楽、ということです。

ちょっと業務が立て込むと破綻する、というのを自分は繰り返してしまいましたが(反省)、卒業が近づくに連れ徐々に習慣化に成功し、このアドバイスの意味を痛感したところです。

(本)しにたい気持ちが消えるまで

 
よく聞くpodcastのヤンデル先生が勧めていた1冊。

女子高校生が飛び降り自殺を図ろうとしたが、結局死にきれず車椅子生活をしている、というだけでも野次馬根性的に色々と詮索したくもなるところですが、すごい1冊でした。

冒頭、家族のことについて触れられていて構成が明らかになります。
韓国籍の母。ある意味被害者側の豆塚さん目線から描かれているので多少の偏りはあるのかもしれませんが、子供を「ブタ」と罵ったり仕事とかこつけてパチンコにいきほとんど面倒を見なかったり。いわゆる毒親。で、さらに上をいくのが義理の父。豆塚さんの実の父は別にいるという複雑な環境なわけですが、この義父、国語教師かつPTA活動もやっているようですが、自分の家族への仕打ちがとんでもない。1度、天気が悪いから車で学校に送ってくれと父親に打診した豆塚さん。送っては貰ったものの「なぜ早く起きないのだ」等、説教の嵐で二度と頼まなくなったのだとか。結局は母親と義父との仲も悪くなり、離れと母屋の生活が続いたそう。


人間には帰る場所があれば、非行に走ったり自分で死を選んだりはしない。
そんな言葉を聞いたことがあります。確かに、本書を読んでいても、未成年にとっては学校と家庭がほぼ世界の全て。
あと、大人が想像する以上に子供は大人に気を遣っているというか顔色を窺っていることを改めて気付かされました。自分にも子供がいますが、自分に余裕がなかったり、子供が悪いことをすると不機嫌になってしまうとがあります(反省すべき点です)。もし、子供が全てを理解して、自分がAということをしたから親は不機嫌になっているんだ・自分が怒られているんだと理解してくれればいいのですが、それを除いて高圧的であったり、怒りや感情で子供を自分をコントロールすることは改めて避けなければならない、そう強く思いました。
通常の親であれば、自分の不機嫌のせいで子供の可能性をつぶずのは悲しいですね。些細なことですが、親が上機嫌でいること、子供が言いたいことを言い出せる雰囲気を作ること、結構大事なことだと思います。

そんな大変な経験をした豆塚さん。
両親に向け、「安心な家庭を築いてください」というメッセージでも発信するのかと思ったら、ちょっと予想を裏切られました。
ちょっと長いですが、抜粋してみます。

自戒を込めて、大人たちに、親をやっている人たちに、これから親になる人たちに言いたい。
自分の人生を楽しんで生きてください。
子どもは親の幸せを何よりも一番に願っている。自分の命よりも。
子供のせいで、誰かのせいで不幸にならないでほしい。
そしてできれば、子どもが未成年の間あだけでも大事にしてほしい。
だって、子どもは親がいないと生きていけない。

意外な気がしませんか。
大人への恨み節もなく、子どもを大事にせよというメッセージだけでもない。
自分は「子供を大事にしてほしい」という想いが第一にくるものと思っていました。

なぜ、豆塚さんは「人生を楽しむこと」を第一のメッセージとして発信したのでしょうか。こんなに酷い目に合わせられた親に対し、幸せになってほしい、と心から願っているのか?なんか、偽善ぽくないのか。本に書くからって、綺麗なところだけ切り出してるのではないか?ちょっと、そんな斜に構えたような見方をしてしまったのが正直なところでした。

でも、この解決策って理にかなってるのかなという考えに至りました。
欲求なり願望を実現するのであれば、大きいところかの方が良い。
自分の身を振り返ってみても、自分の両親には特別に幸せになって欲しかったし、ある程度の分別がついた年齢からは、金銭面のみならず迷惑をかけている、負担をかけているのが嫌だった(多分に負荷をかけてはいるのですが)。
身を削って子供最優先というのは聞こえはいいし美しいですが、それよりもまず、大人が幸せそうにする、幸せになることが最優先事項なのかな。
読みながら、そんなことを考えました。

にしても、新年一発目から頭をガツンと殴られるような読書体験でした。
このような自分の価値観や考え方を揺さぶられる体験を数千円でできる。
これだから、読書はやめられない。

今年も良い本にいっぱい出会えますように。

(本)料理の四面体

Amazon.co.jp: 料理の四面体 (中公文庫) eBook : 玉村豊男: 本

 

取り立てて大きな理由もないのですが、読書を含めた日々の記録とアウトプットのため、ブログを開設してみることにしました。いきなり冒険はできない?という小心者ぶりを発揮し、評判もよく無料で始められるHatenaブログとしてみました。継続は力なり、ということで続けていければなと考えております。

さて、今回取り上げるのは玉村豊男さんの「料理の四面体」という一冊。

レシピをまとめた本でもなければ、文庫サイズの文字だけという料理本に似つかない体裁。ただ、読むとめちゃめちゃ面白い。頭の良い人は具体と抽象を行き来するというのはよく言われることですが、玉村さんは本書の中で、具体的な料理なり調理方や旅行の思い出を振り返りつつ、上手に抽象化して「料理とはなんぞや?」の回答を示してくれています。

例えば、卵を例にとると

・目玉焼き

スクランブルエッグ(炒り卵)

・卵焼き

・ゆで卵

・ポーチドエッグ

とたくさん、亜種も含めればほぼ無限の料理ができます。一方で、これらは

目玉焼き、スクランブルエッグ、卵焼き →  卵に火を通したもの

ゆで卵、ポーチドエッグ →  殻のありなしはあれど、卵を茹でたもの

というふうに、抽象度を上げていくと多くの料理の調理方は絞られていきます。

で、最終的に残るのが

・火

・空気

・油

・水

であり、すべての料理はこれらの4つを頂点とした四面体をイメージすると、その四面体のうちのどこかに該当する、というのが本書での主張。

豆腐を考えてみると、水と火の線の上を考えると湯豆腐になるし空気と火の線上を考えると、焼き豆腐なり田楽(調味料は別)となる。油と火の線上となると油あげ。といったイメージ。

さらに広げて考えると、この四面体は複数回使うことも可能で、例えば上で示した油揚げをさらにこの四面体で考えると・・・というふうに、示された四面体がいわば調理方法の全貌となり、どこにプロットするかをイメージするとほぼ無限に料理が考えつく公式、となるわけです。

これまで、レシピ本を見たりテレビで料理番組を見ても、N=1となり単体の調理方法としかなり得ませんでしたが、四面体をイメージすることで、応用が広がりそうです。

これまで見ていた雑多な世界が一つのシンプルな公式で表される。

なんか、気持ちいいですよね。旅行記料理本としてももちろん楽しめます!