(漫画)神々の山嶺

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何回目かわからないけど(5〜6回は読んでる)読了。

未読の人はとりあえず読んで欲しい。

 

自分は、アルピニスト(登山家)に漠然とした憧れがある。

なぜなのかというのはうまく言語化できないのだけれど、一つは「自分の欲・願望達成に向けて一直線に進んでいる姿」に羨望のような感情があるからなのかもしれない。

どんな山に限らず、登山家が目指すは1つ。山の頂上のみ。

人によっては長期に渡る過酷な訓練、膨大な費用、時間をかけて頂点を目指す。

成功と失敗もこれ以上なくシンプル。てっぺんに立てば成功、到達できなければ失敗。

 

本作は、そんな山に取り憑かれた男 羽生と主人公 深町を軸にした、エベレストをめぐる物語です。

作品中にも出てきますが、エベレストは高さが世界一というだけではなく、「誰が最初に山頂に立ったのか?」が今でも分かっていないそう。イギリスの登山隊、マロリーとアーヴィンが山頂に到達した可能性があるとは言われているものの、2人とも途中で姿を消し、その真偽は明らかになっていません(史実だそう)。で、この作品の肝になるアイテムが、マロリーが山頂にアタックするときに持っていったカメラ。山頂にたどり着いたのであれば、間違いなく撮影しているだろうから、それにより真実が明らかになる。

カメラの発見者が羽生、それをカトマンズで発見したのが深町でした。

生粋の登山家である羽生は、人類が成し遂げたことのないある登攀にチャレンジし、さらにマロリーのフィルムを発見し、山頂に至ったのか否かの作者なりの回答を出して本書は終わりとなります。

山の厳しさ、自分の欲求に素直に生きること、目標を定めたら一直線で向かうことの大切さ。当たり前のことに気づかせてくれる、そんな素敵な漫画です。

 

マロリーとアーヴィンの最後の目撃者であるオデルの言葉を引用します。

 

私が思っているのは 人には誰にでも 役割があるということです

結局歴史は

私をマロリーとアーヴィンの最後の目撃者・証言者として選んだということです

ふたりのうちどちらかがエヴェレストに立った可能性は・・・

もちろんあります

そのかわりたたなかった可能性だってあるわけですから

この世に生きる人は全て

あのふたりの姿をしているのです

マロリーとアーヴィンは今も歩き続けているのです

そして 死はいつもその途上で

その人に訪れるのです

その人が死んだとき 一体何の途中であったのか

多分そのことが重要なのだと思います